Body Connect Therapy(BCT)は、身体感覚への注意、経穴(ツボ)への刺激、サイド・ボディ・コネクト(SBC)で用いる片方向(楽な方向)への眼球運動などを組み合わせ、日常的なストレス反応から、トラウマや解離に伴う心身の反応までにアプローチする、日本で開発された身体志向心理療法です。
対人援助職向けの公式トレーニングを実施しています。受講要件はBCT研修サイトをご覧ください。
BODY AS A GUIDE
身体を手がかりにする
トラウマの影響は、記憶だけでなく、筋緊張、圧迫感、震え、痛み、呼吸の変化、過覚醒や低覚醒として現れます。こうした反応は、現在が安全になったあとも、防衛反応として続くことがあります。
BCTでは、過去の体験を詳しく語ることだけに頼らず、「いま身体に何が起きているか」を手がかりにします。クライエントの身体が示す変化を尊重しながら、神経系が安全を感じ、身体と心のつながりを回復していく過程を支えます。
KEY FEATURES
BCTの特徴
眼球運動の方向
EMDRが主として左右交互の両側性刺激を用いるのに対し、BCTの中核技法であるサイド・ボディ・コネクト(SBC)では、視線を中央から、クライエントにとって楽に感じられる方向へ動かします。苦痛の強い方向へ押し進めるのではなく、身体が示す安全な方向を手がかりに、自己調整が働きやすい条件を整えます。
経穴刺激との組み合わせ
東洋医学に由来する経穴への刺激を、技法体系の中に組み込んでいます。
説明原理を持つこと
個別技法の寄せ集めではなく、予測的処理と自由エネルギー原理などの理論的枠組みのもとで、技法と臨床判断を位置づけています。
BCTは海外の心理療法をそのまま輸入したものではなく、日本の臨床現場から生まれ、日本語で理論化されてきた体系です。
CLINICAL APPLICATION
どのような場合に用いるか
BCTは、日常的なストレス反応の調整をはじめ、発達性トラウマ、複雑性PTSD、解離症状や離人感、フラッシュバック、過覚醒・低覚醒、感情調整の困難、愛着に由来する前言語的なトラウマ、トラウマに関連する身体症状や慢性疼痛、燃え尽きや慢性的なストレス反応などに対して、臨床上の適用を検討します。
安全性について
急性精神病状態、重度の物質依存、積極的な自殺念慮、安定化が不十分な重度の解離など、トラウマ処理よりも安全確保や医学的治療を優先すべき状態があります。
BCTは医療行為の代わりとなるものではありません。身体症状や慢性疼痛については必要な医学的評価を優先し、必要に応じて医師による診断・治療と連携します。BCTは、専門的な訓練を受けた支援者が、それぞれの資格と職務の範囲内で実施します。
RESEARCH
研究の現状
2026年に、BCTを直接扱った査読付き英文論文が2本発表されています。
EXPLORE
急性ストレス反応と発達性・複雑性トラウマの2事例
BCTの臨床適用を報告した事例報告です。
事例報告を読むFrontiers in Psychology
予測的処理とSC–PAG経路による理論モデル
BCTの作用機序について検証可能な仮説を提示した理論論文です。
理論論文を読むいずれも仮説を提示する段階の研究であり、BCTの有効性を確定するランダム化比較試験は、現時点では発表されていません。今後、症例の蓄積、標準化された尺度による前後比較、追跡研究、比較対照研究などが必要です。
研修については、コアスキル等の基礎研修修了者が約900名、上級講座等を含む延べ受講者は1,000名を超えています(2026年集計)。
LEARNING PATH
学ぶには
コアスキルトレーニング
(BCT-CST)
トラウマの基礎理論からBCTの臨床技法までを学ぶ、通常2日間の対面研修です。
アドバンストレーニング
(BCT-Adv)
BCT-CST修了者を対象に、カーム・ボディコネクト、パーツワークなどの発展的な内容を扱います。
AWAI
(あわい)
アプリを用い、トラウマ処理に入る前の準備と安定化を、支援者とクライエントが協働して進める方法を学ぶ独立したオンライン研修です。
原則として、公認心理師、臨床心理士、医師、精神保健福祉士などの対人援助職、またはそれに準じる方を対象としています。
研修修了は国家資格や医療資格に代わるものではありません。受講者は、ご自身の資格、職務、法的・倫理的な専門領域の範囲内でBCTを用いる必要があります。